2007年7月14日~16日 特別企画 初夏の2泊3日ツーリング(2-1) – 港サイクリングクラブ公式サイト

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2007年7月14日~16日 特別企画 初夏の2泊3日ツーリング(2-1)

特別企画初夏の2泊3日ツーリング
 「奥の細道、暴風雨紀行」(二日目)

「南部道遙にみやりて、岩手の里に泊る。
小黒崎・みづの小島を過て、なるごの湯より尿前の関にかゝりて、出羽の国に越んとす。
此路旅人稀なる所なれば、関守にあやしめられて、漸として関をこす。
大山をのぼつて日既暮ければ、封人の家を見かけて舎を求む。
三日風雨あれて、よしなき山中に逗留す。」 by芭蕉

~蚤虱馬の尿する枕もと~   奥の細道より


さて、二日目である。台風4号いらっしゃい~。


2007年7月15日(暴風雨)
9時
いよいよ台風の影響で本格的な雨になっている。
皆”ゴソゴソ”と雨具を着込んで、いざ出発の前に記念撮影。
今日は、芭蕉も難儀した山刀伐峠(なたぎりとうげ)越えだ。しかも未曾有の強烈台風4号が関東を制圧し、今まさに東北に襲いかからんとする。という様相だ。
芭蕉もビックリの山刀伐峠越えなのだ。無事に目的地の第2の温泉にたどり着けるのか。請うご期待!

ちょっと、皆の顔もいつもより引き締まっている。(じつは二日酔いか・・・)
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鳴子温泉駅で二日目からの参加のメンバー1名と合流。
古川から走ってきたという・・・・この台風で。
しかも、台風もすぐあとから付いてきているという。
10時過ぎに全員が合流し、小休止して出発。本日のメインイベント、台風の山刀伐峠を堪能するのだ。(ワクワク)
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10:30、鳴子を出発し、北羽前街道を西に走しる。じわじわと風雨に勢いが付いてきた。
幸い追い風だ。リーダーが言った。
「やっぱり、この時期は台風の影響を考えて西向きに走るのが正解だなぁ。」
そんなことは企画段階で微塵も考慮していないことは言うまでも無い。

それはともかく、、鳴子は「こけし」の里である。
荘司としおの漫画「サイクル野郎」は中年以降のサイクリストであれば、あらかた読んでいると思うが、(読んでないか・・)
主人公の丸井輪太郎と矢野陣太郎が「わぁ、でっかいこけしがたってらぁ、」と感動していたのが、まさにこの絵である。(マニアック)
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この先の日本こけし館に立ち寄った。
これだけのこけしを一度に見るのは生まれて初めてだし、職人による手作り実演には驚いた。
こけし専用の旋盤で、ただの丸太が見る見るこけしになっていく。
しかも首の据付には接着剤も釘も使わず鮮やかな手際でスポンと首がはまって、二度と抜けなくなるのだが、詳しくは実際を見てください。
しばし、皆で見とれてからいざ山刀伐峠を目指し出発。
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最上に入った。雨も大粒だし風もお尻から巻き上げるように荒れてきた。
ポンチョの中もビショビショだ。
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こうなったら、裸で走ってもあまり変わらないのではないか、とメンバーが言い出した。
この天候で十数人の集団が裸で自転車乗りまわしていたら次の休憩場所は警察署というようなことになっても問題があるのでおとなしくポンチョで走った。
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予定では赤倉温泉あたりで昼食と考えていたが、風雨が強くなり身体が冷えてきたので途中で早めの昼食にしようと、食堂を探しながら登った。
さすがにコンビにで弁当買って道端で食という選択肢は問題がある。
しかし、それらしい食堂は一軒も無い。
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そうこうしている内に、中山峠に到着。そこで地元の人が野菜を売っていたので食堂を訪ねた。
峠を下って1kmほど行くと左側にドライブインがあった。
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ここで大休止。葱味噌ラーメンと餃子を食べ、ここの名物「おばあちゃんのくじら餅」を買う。
外は大荒れだが、幸い自転車十数台を入れられる軒下もあり、台風ツーリングにはもってこいだ。
窓越しに葉っぱが千切れて飛んでいくのが見える。
他のお客さんは歓心と好奇の目で「いったいこの台風の中どこから来てどこまで行くのか」聞いてきた。
我々は胸を張って、「東京のサイクリングクラブで今日は鳴子から山刀伐峠を越えて尾花沢まで行くのだ」と応える。
半分呆れて、半分うらやましそうに(だと思う)そのお客さんはラーメンをチュルチュルすすり始めたのだった。

ドライブインを出て、山刀伐トンネルに到着。
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台風の勢いが更に増してきた。
全員が安全に走破できるよう、再検討が必要だ。
ここでトンネルを通るが、難所の歴史街道を通って峠を目指すか、判断に迷うところだ。
暴風が山肌を昇って我々の身包み剥がそうとしているようだ。

もともと、山刀伐峠は、峠の形状が、山仕事や狩りの際に被った「なたぎり」に似ていることから名付けられたものであるが、俗説として、刀を持った山賊が住み着いており、道行く旅行者を襲撃しては身包みを剥ぐ危険な峠であったことに由来するという説もある。
実際に、松尾芭蕉は、この峠を越えるにあたり、屈強な護衛に護られて『高山森々として、一鳥声きかず、木の下闇、茂りあひて、夜行くがごとし』などと、弱気な句を詠んでいる。
我々、港サイクリングクラブはこの台風の山刀伐峠を満場一致で上ることにした。
皆犬ぞりを引く犬のごとく、嬉々としてトンネル前の旧道に突入。

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期待通り、すごい暴風雨だ。木々の枝が千切れて飛んでくる。
道には枝が散乱している。
芭蕉の句とたがわず、「木の下闇、茂りあひて、夜行くがごとし」である。
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枝を踏んでひっくり返ってもんどりうつもの、スポークやディレラーに枝を巻き込むもの。
ポンチョがお猪口になっているもの・・・・・・

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風と雨と森のざわめきが、我々に未だかつて無い感覚を呼び覚ます。
ヘルメットやポンチョを叩く風と雨の音以外はなにも聞こえない。
前後のメンバーがあげる喚起の声が、ごくたまに幽かな木霊となって耳に入ってくる。
江戸時代の芭蕉の姿が浮かぶ。

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ようやく、頂上に到着。ログハウス風のトイレがあったので、とりあえず、全員トイレに非難。
頂上を吹く風は大変なパワーでトイレを揺さぶる。

皆うれしくなって外で風を堪能して、記念撮影。
今回の記念写真のなかで老若男女関係なく、皆一番いい顔をしているではないか。
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しばし、休憩し、峠をおりようとする。
しかし、ポンチョが絡んでなかなか発進できないのだ。

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峠の反対側は風も静かで枝も散乱していないため、安全に走れた。

このまま尾花沢市へ下り、次第に風雨も弱まって、だいぶ走りやすくなってきた。
やっと見つけたコンビニでしばし休憩&補給し、再出発。
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本日の宿「大石田温泉(あったまりランド深堀)虹の館」が見えてきた。
かなりエキサイティングな峠越えだった。気持ちは高揚していたが、体は皆ヘトヘト。
宿の大きな屋根を見てホットする。芭蕉もそうだったんだろうなぁ。
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宿にチェックインして、温泉に入る。
ツーリング後の温泉とサウナの後の生ビールを天秤にかければ、圧倒的にツーリング後の温泉に軍配が上がる。
さらに、その後に生ビールとくれば、鬼に金棒である。

一息入れて、夕食までの間、談笑しながら本日のコースや明日の行程などを、それぞれが地図を広げて「あーだ、こーだ」言い始める。
皆、白地図に走跡を赤鉛筆でなぞってあるが、MCCも古株になると、もう走るところは無いくらい網の目のように走跡が引かれている。
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さて、待ちに待った18時からの夕食だ。
今回は豪華だ。
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お膳が二つも付いている。お皿も綺麗だし、スペースも広い。
はしゃげそうだ。
ビールや酒がしこたま用意されている。
ここからがMCCのもうひとつのお楽しみ。今回は、盛り上がりました。
興味ある人はどうぞご覧ください。

こわいけど、宴会を覘いてみる

宴会を見ずに三日目へ



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